zoi's blog

ボトムアップSaaS

February 08, 2020

目次

Internal Network

企業の内部ネットワークは、B2B SaaSにおいて聖杯である。一度企業内でアカウントが作れれば、それは不滅だ。まずは最初の担当者をサクセスさせ、安心して他の関係者にも紹介してもらえる。

企業の内部ネットワークに関する議論は、フリーミアムvsフリートライアルの議論にも関連する。

フリーミアム

課題

  • 緊急性がないので無料版で満足してしまう。営業にとって最大の競合は無料版となってしまう
  • どの機能を無料でどの機能を有料にするのか、またそれが適切なのかにPMはかなりのリソースを取られる
  • Paidマーケが複雑になる有料転換するのがNヶ月、N年後と不明瞭な場合、PaidマーケのROIを適切に評価するのは難しくなる

条件

次の条件に合う場合はフリーミアムが適切である。

  • ユーザー獲得がボトムアップかバイラルである
  • 無料利用のユーザーが、コンテンツを投下し、ネットワーク効果に貢献してくれる
  • 無料ユーザーがいなくなると、著しく製品の価値が下がる
  • 無料ユーザーの多くは、基本的に支払う気がない
  • 無料ユーザーが増えれば増える程、CVRが上がる
  • CVするユーザーと無料のユーザーで要求する機能が異なるため、機能制限について考えるのが比較的ラク

フリートライアル

メリット

  • フリーミアムの課題は全て無し
  • クレカが登録してもらえれば、受注に慣性が与えられる
  • フリートライアルは無料期間に制限があるので、各ファネルの段階が短くなる

条件

次の条件に合う場合はフリートライアルが適切である。

  • ユーザーアカウントが管理者によって支給されるもの
  • リードが基本的にPaidのマーケティングから発生するもの
  • トライアルを経たユーザーが購入に至らない明確な理由がない
  • トライアルに時間制限があることで、CVを早める事ができる
  • 有料ユーザーの享受する製品の価値に、フリートライアルの存在が寄与しない

Yammerの事例:フリーミアム

当時Yammerの購入者はIT部門。特にアーリーアダプターには権限や予算がなかったので、支払いを共用しても意味がなかった。一方該当の担当者は、コンテンツを投稿したり社内の人間を招待するのに積極的だった。 このネットワーク効果が高まるにつれて、IT部門の事例は積み重なった。利用者が増える毎にバイラルは上昇し、結果的にPaidマーケが不要になった。これにより、バーンレートが抑えられてコンバージョンまで時間が掛かるのを待つ余裕があった。

参考


Kyle Mathews

SMB向けのマーケットプレイス事業を売却後、エンプラ向けのSaaSをやってます。元エンジニア:Ruby / Go / Nuxt / ReactNative