January 15, 2020
PayPal-MafiaのDavid Sacksによる超良記事(The One Who Defines the Category Wins the Category)があったので要約します。
ソフトウェア業界だと特定カテゴリーのシェアNo1企業が75%の市場規模を担う。VCはこの原則を理解しているので、カテゴリーリーダーに将来的な規模を期待して投資する。
実際スタートアップがマーケや営業により一定のMRRを積み上げると、結果として発生した利益や追加調達により、どんどん再投資を行う。これが繰り返されると、時間を経て圧倒的な企業が出来上がる。
VCだけでなく顧客も、カテゴリーリーダーからサービスを受けたいと思うものです。
結果的に、カテゴリーリーダーは受注が簡単になりますが、2番手は無理やり売る必要が出てきて、常に辛い戦いを強いられます。
初期製品の営業をしたことがあれば分かると思いますが、導入社数が少ない中での営業は非常に大変です。最初の顧客を説得し、ROIを達成するには相当な努力が求められます。 しかし、カテゴリーリーダーになると、この努力は一切不要です。顧客がそのカテゴリーの製品により解決できる課題を抱えていると認識すると、自動的にカテゴリーリーダーに発注するようになります。
上記のような理由で、SaaSの全ての企業活動はカテゴリーリーダーの地位を確立するためにあります。
新しいカテゴリーでは、まず実際にその領域に課題が存在し、自分たちの構築するソリューションが課題を解決することを証明する必要があります。
一方既存のカテゴリーでは、自社製品に関連するカテゴリーの再定義が必要になります。
既に競合製品によって認識されたカテゴリーに後から参入することは、2番手として非常に厳しい環境にさらされます。
なので、自社製品のカテゴリーを定義する、分かりやすく簡潔なタグラインが求められます。例えば、internalは“No Code Internal Tools”だし、ProductBoardは“Product Management System”です。
実際、当時No1だったCRMのSiebelに対して、“Cloud CRM”としてカテゴリーを定義し直す事で差別化を行い逆転出来ました。新しいカテゴリーは、差別化を強調するものである必要があります。
新規カテゴリーを定義できない製品の場合は、既存のカテゴリーを再定義し直す必要があります。競合によって定義され、市場に存在を認識されたカテゴリーにいては、常に逆風に晒されてしまいます。
同一カテゴリーの2番手として認識されてしまうと、1番手であるカテゴリーリーダーを差し置いて顧客から選ばれる事はありません。コンペや競合の商談内で一切言及が無いほうが遥かにマシです。
新しいカテゴリーを定義すると、大手の競合製品が後から参入してきます。勿論それ自体は恐ろしい事ですが、市場には既にNo1のカテゴリーリーダーとして認識されていれば、古くから定義されていたカテゴリー(Salesforceに対するSiebel)とは一線を画す別物としての認識が固まり、結果的に2番手以降を蹴散らす事ができます。
特定の課題を抱えるカテゴリー及び、そのソリューションである製品を証明する最も強力な武器は「顧客の証言」です。
例え商談で何を言おうと、見込み顧客は謳い文句を疑ってかかります。なので、定義されたカテゴリーが抱える課題を解決した顧客の声こそが、最も信頼を得られます。
ロゴ、プレスリリース、導入事例、顧客担当者を集めましょう。それこそが顧客からのカテゴリーへの認識を強化してくれます。
カテゴリを定義できて始めて、カテゴリの要件が具体化できます。要件が固まって初めて機能について考え始める事ができます。本来この順番です。
私が以前運営していたYammerにおいて、最終的に勝負を分けたのは事業構造でした。YammerはクラウドでしたがJivaはオンプレであり、結果として前者はフリーミアム+バイラルのコンボがリード数や人気を加速度的に高め、圧勝しました。
競合とは別ポジションとしてカテゴリーを定義し直した上で、自社の強みを事業構造上のサイクルにポジティブに載せられれば、ほぼ確実に勝利できます。
もし自社製品が成功すれば、参入してきた大企業の競合は、諦めて自然と力を入れるのを辞めてきます。
後発の競合参入はあくまで歓迎すべきです。それは後発の参入によりあなたが長年努めてきたカテゴリーの定義をより強化してくれるものだからです。決して悪意のある行動をとってはいけません。
個人的には次のワードが最も自分の仮説を強化してくれた。
カテゴリを定義できて始めて、カテゴリの要件が具体化できます。要件が固まって初めて機能について考え始める事ができます。本来この順番です。
やはり他社製品との差別化をし、別物と認識されるカテゴリーを見つけ、そのカテゴリーへポジションを取る事。その上で、事業構造や市場成長に乗れるような、そのポジションを支えてくれる機能を考え実装するという手順がSaaSの企画には必用である。
SMB向けのマーケットプレイス事業を売却後、エンプラ向けのSaaSをやってます。元エンジニア:Ruby / Go / Nuxt / ReactNative